✿映画ドラマが好き2

川崎市川崎区は、戦中戦後、日本経済を支える京浜工場地帯であるが、「ケイヒン」と揶揄される時代もあった。正しく労働者の町で、日本各地から仕事を求めて、川崎に移住した人々が多い。私の両親もそうである。また、韓国・朝鮮からの渡海労働者も多く、戦時中に朝鮮半島から戦地に連行され、戦後は川崎に移り住んだ人々もいる。

で、私は高校生時代から、様々な社会問題に興味を持ち、映画もそのような傾向の作品を見ていた。その一部を、年代ごとに紹介する

🔷自転車泥棒:1948年、イタリア映画、ビットリオ・デシーカ監督(アマゾンプライムで鑑賞可)
中学生の時に初めて見た。第二次大戦後のイタリアの労働者の生活を描いている。一時期NHKは、イタリアの映画を放映していた。「鉄道員」なども数回見た。私の父はイタリア映画が大好きだった。労働者として、同じような現実に共感していたからだと思う。マイオマージュ・ムービー。

🔷スケアクロウ:1973年、アメリカ映画、ジェリー・シャッツバーグ監督(アマゾンプライム、U-NEXTで鑑賞可)
私は若い頃から、アル・パチーノのファンである。彼は現在80歳以上、現役で映画出演していて、2020年のアカデミー助演男優賞にノミネートされた。この映画は、当時のアメリカンニューシネマの代表作であり、若かりし頃のアル・パチーノの演技が秀逸。必見の価値あり!

🔷砂の器:1974年、日本映画、野村芳太郎監督(アマゾンプライム、U-NEXTで鑑賞可)
原作者の松本清張が「原作を超えている作品」と言わしめた、名作。ハンセン病の父と子が故郷を追われて、日本各地を旅する。ハンセン病差別と、出自を隠すことの哀しさを描いていてる。何度かリメイクされたが、この映画以上の作品はない。

🔷伽耶子のために:1984年、日本映画、小栗康平監督(アマゾンプライムで鑑賞可)
在日韓国人青年と日本人少女との恋愛のお話。昨今の韓流ドラマとは違い、日本の中の民族差別を、二人の恋愛を通して描いている。なんと、川崎区の一部が撮影現場になった。小栗康平監督の視点と描写が素晴らしい作品。

🔷ミシシッピーバーニング:1988年、アメリカ映画、アラン・パーカー監督(U-NEXTで鑑賞可)
初めて見た時、白人系アメリカ人の差別感覚は根が深いと思った。1964年が時代背景の実話。黒人差別が激しいミシシッピー州で、公民権運動家が姿を消した。黒人差別に立ち向かう、FBI捜査官のスタンスが骨太ですごい。ジーン・ハックマンがカッコいい、名作だ。

🔷デッドマン・ウォーキング:1995年、アメリカ映画、ティム・ロビンス監督(U-NEXTで鑑賞可)
決して「ウォーキング・デッド」と間違えないように!こちらは、死刑を目前にした死刑囚と、カソリックのシスターとの交流のお話し。死刑問題を真正面から描いている。公開死刑場面は圧巻。まるでキリストの処刑のようだ。シスターによって、死刑囚は最後に愛を知る。

🔷硫黄島からの手紙:2006年、アメリカ映画、クリント・イーストウッド監督(アマゾンプライム、U-NEXTで鑑賞可)
アジア・太平洋戦争中の硫黄島での様子を描いている。イーストウッド監督だから、客観的に日本人軍人の心理を描けたように思う。「父親たちの星条旗」と二部構成になっている。軍人であっても、軍国主義に疑念を抱いていたのが真実である、と思わせる作品。

🔷あん:2015年、日本映画、河瀬直美監督(アマゾンプライム、U-NEXTで鑑賞可)
現代の日本、ハンセン病に対する偏見と差別を率直に表現した映画。樹木希林の静かな演技が胸を打つ。ご自身もガンに侵されていた時期、病魔におかされた人々の哀しみを、自然や人間との関係性を見つめる視点が、素晴らしい。涙が自然に流れる物語。

🔷エルネスト:2017年、日本映画、阪本順治監督(アマゾンプライム、U-NEXTで鑑賞可)
キューバ革命の英雄、チェ・ゲバラにあこがれて、キューバに留学した日系ボリビア人二世が実在した。ゲバラの人民解放軍に加わり、ボリビア革命に身を投じた。日本とキューバの合作作品。とても静かな流れだが、阪本順治監督の熱意が伝わってくる。

🔷ビューティフルディ:2017年、アメリカ映画、リン・ラムジー監督(アマゾンプライム、U-NEXTで鑑賞可)
大人に身体を提供する少女を、救出する元軍人の物語。児童買春の実態は、アメリカ国内にもある。元軍人は、幼いころ虐待を受けていて、その経験と少女の情態が重なる。元軍人をホアキン・フェニックスが演じてるが、「ジョーカー」の彼がやっているとは思えない。驚くほどの演技力だ。

🔷きのう何食べた:2019年、テレビ東京ドラマ、西島秀俊、内野聖陽W主演(アマゾンプライムで鑑賞可)
ゲイカップルが共に暮らす日々の、ドラマシリーズ。とても軽い調子で物語は展開していくが、ちょっとした場面で、ゲイカップルの苦悩が浮かび上がる。内野聖陽のオネエさまぶりは、とても素敵だ。ドロドロしてなくて、ホロリとする温かい作品。私は大好きだ!