
第三回目は、愛情、友情、純愛などを描いている映画を紹介したい。
映画や小説は、この分野が一番多く描かれているが、「愛」を描くことの難しさがある。暴力や支配、性的なつながりが重視されると、ドロドロした内容になる。
そのドロドロした内容に魅力を感じる人もいるだろうが、私は、ほっこりと感動できる映画や、意味深い内容の映画が好きだ。見た後に前向きになれる物語、哀しみを感じるけど勇気が出る物語、がいい。
愛情、友情、純愛を描いた作品を紹介する。
🍀道:1954年、イタリア映画、フェデリコ・フェリーニ監督(アマゾンプライム、U-NEXTで鑑賞可)
初めて見たのは中学生の頃、NHKの名画特集でやっていた。二人の大道芸人のお話しだが、ジュリエッタ・マシーナ演じる、道化師の悲哀が涙を誘う。でも、美しい。純愛と暴力を描いた作品で、フェリーニ監督の代表作である。
🍀アラビアのロレンス:1955年、イギリス・アメリカ合作映画、デビット・リーン監督(アマゾンプライム、U-NEXTで鑑賞可)
むかしは、リバイバル上映が流行っていて、大画面でこの映画を見た。砂漠をラクダで駆け抜けるシーンは、素晴らしかった。イギリス軍人とアラブ人の共闘で、独立のための闘争を繰り拡げる。ロレンスは英雄視されたが、近年では評価が分かれる。が、友情の物語としてとらえれば美しい話である。ピーター・オトゥールがカッコいい。
🍀薔薇の名前:1986年、フランス映画、ジャン・ジャック・アノー監督(アマゾンプライム、U-NEXTで鑑賞可)
北イタリアの修道院で、修道士の遺体が発見された。二人の修道士が警察官のごとく、犯人を追い詰めていく。その過程で、修道院の中の生活が表面化していく。初老の修道士をショーン・コネリーが演じていて、演技派の道を進んだ第一作目。「薔薇の名前」の意味は最後で、やっとわかる。
🍀バグダッドカフェ:1987年、西ドイツ映画、パーシー・アドロン監督(アマゾンプライム、U-NEXTで鑑賞可)
ドイツからアメリカに旅行に来た女性と、砂漠の中でカフェを営む女性との、奇妙な友情の物語。二人でカフェを盛り上げて、人気店にしていく。「コーリング・ユー」という主題歌が有名になった。空の色や砂漠の色が美しい。
🍀レインマン:1988年、アメリカ映画、バリー・レビンソン監督(U-NEXTで鑑賞可)
様々なことを考えさせられる、現代的な課題だ。兄は自閉症で施設にあずけられていた。弟は2歳頃に別れて、兄の存在を覚えていなかった。父親の死をきっかけに、二人で車で旅することになる。兄は施設では経験できないことを、弟に教えられる。弟は兄の存在を愛することができた。自閉症の兄をダスティン・ホフマンが演じている。胸にしみる傑作だと思う。

🍀ニュー・シネマ・パラダイス:1989年、イタリア映画、ジョゼッペ・トルナトーレ監督(ネットフリックス、U-NEXTで鑑賞可)
映画ファンなら、一度は見たことがあると思う。イタリアのシチリアにある映画館での、映像技師と子どもの交流を、楽しく美しく描いている。最後のシーンは、映画愛にあふれていて、素敵だ。
🍀ギルバート・グレイブ:1993年、アメリカ映画、ラッセ・ハルストレム監督(U-NEXTで鑑賞可)
アメリカの田舎町で、知的障がいの弟、過食症の母を介護する、若者の日常を描いている。たんたんとしているが、その優しさとまじめさに心打たれる。若き日のジョニー・デップが兄、弟役をレオナルド・ディカプリオが演じている。二人の演技が素晴らしい、かくれた名作。
🍀オールドボーイ:2003年、韓国映画、パク・チャヌック監督(アマゾンプライム、U-NEXTで鑑賞可)
日本のコミックを韓国で映画化した。残虐な暴力シーンも出てくるが、近親での性的関係を描いている。性なのか愛なのか、混同する内容だが、最後に主人公は愛を示す。賛否が分かれる映画だと思うが、私は愛情ある映画だと思う。
🍀下妻物語:2004年、日本映画、中島哲也監督(アマゾンプライム、U-NEXTで鑑賞可)
ロリータファッション大好きの少女と、ヤンキー娘との友情。なかなか、かみ合わないところが笑いをそそる。私の地元は元ヤンキーのママたちがいるが、本当は心根は優しいのである。だから、この映画の展開はすごく理解できる。深田恭子と土屋アンナが、とてもイイ。
🍀マグダラのマリア:2018年、イギリス・アメリカ合作映画、ガース・ディビス監督(アマゾンプライムで鑑賞可)
マグダラのマリアは、イエスの幼なじみで娼婦であったとか、実はイエスの妻であったとか、様々な説がある。7世紀初頭に、マグダラのマリアは罪深き娼婦であったとされた。が、聖書の中にはその記述はない。この映画では、マグダラのマリアは、イエスの使徒であったとされている。彼女を主人公にした初めての物語。言葉少なく、映像で語るきれいな映画だ。
🍀マリッジストーリー:2019年、アメリカ映画、ノア・バームバック監督(ネットフリックスオリジナル)
最初は「クレイマー・クレイマー」の続編みたいだと、勘違いした。が、離婚裁判のリアルさや、夫婦が怒鳴りあいながら自分を主張しあう場面は、現代の離婚の実態だ。妻は別れると、イキイキする。夫は、寂しさや哀しさで滅入ってしまう。子どもは、二人の間を行ったり来たりで疲れてしまうようだ。夫役のアダム・ドライバーは、歌で男の悲哀を表現した。その歌にナチュラルに感動した。

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