
私は家族療法カウンセラー・うつ病アドバイザーの資格を持ち、活動をしている。それまでは33年ほど保育士をしてきた。乳児(0歳児~2歳児)10年、幼児(3歳児〜5歳児)10年、小学生を13年間保育してきた。そして、その家族とも深くかかわり、保護者と連携しながら子どもたちを育成してきた。
家族は、さまざまな関係性で成り立っている。そして、多様な人格が交差し合いながら、生活を営んでいる。だから、子どもたちの性格もそれぞれ違い、個性が育っていく。 「個性的な子どもに育つ保育・教育を」などという教育目標をたてなくとも、すべての人には個性があり、自然と社会にもまれながら育っていくものだ。
「家族は仲がいい、兄弟姉妹は仲がいい」ということは、幻想であると思う。人間の嫉妬ややきもちは1歳頃から生まれる。何故ならば、弟か妹がお母さんのお腹に宿り出産すれば、1歳で兄か姉になるのだから。「お兄ちゃんなんだから、お姉ちゃんなんだから」と言い続けて、下の子どもだけをかわいがったり、逆に、第1子だけを大切にしすぎると、確実に嫉妬が生まれてくる。そして、兄弟姉妹を何かにつけて比較していくと、嫉妬が助長され「悪」が育っていくように思う。
少々、辛口の子ども論を述べているが、人間の人格は、家族という集団の中でベースができ、保育園・幼稚園や学校という大きな社会で、鍛えられていくものだと思う。家族は、子どもが初めて出会う集団である。集団とは2人から集団で、保護者1人子ども1人の「ひとり親家族」も集団である。
児童福祉法では、児童は0歳から18歳までをしめす。青少年=13歳から18歳までは、パーソナリティ形成では大切な時期である。思春期であるし、大人になりきれない時期でもある。だからこそ、大人とのコミュニケーションが重要だ。意思疎通ができなくとも、保護者の怒りをかう悪さをしてしまっても、誰かが理解してあげること、信じてあげることが重要だ。家族がそのような集団になれたなら、子どもは真実に気づき成長できると思う。
日本におけるユング心理学の第一人者である、故・河合隼雄氏が「子どもと悪」という著書で、思春期について表現している言葉をご紹介しよう(原文)。
まんびきはしたことはないけど わたしは人の心をぬすんだ ぬすんだことも気づかずに
部屋にかぎはかけないけど 私は心にかぎをかける かぎのありかもわからずに
うそはついていないけど 私はほほ笑んでだまってる ほんとの気持ちをだれにも言わずに
いい子だから 私は悪い子

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