
私は、家族療法カウンセラーの資格を有してる。60歳近くになって、家族心理学を学習しだした。それまでにも、保育士として子どもの情態や保護者との対応に苦慮すると、心理学の本を読んで独学で勉強した。故・河合隼雄氏の本は、子どもの心理を扱うものが多かったので、ユング心理学のファンになった。
アルフレッド・アドラーはこの10年ぐらいの間で、日本で翻訳本が出版された。それまで、ほとんど読んだことがなかった。現代では、アドラー心理学が注目を集めていて、家族心理学の原点と言われている。
家族心理学は家族療法の実践の積み重なりで、成立している。そして、さまざまなケアスタイルがあり、家族心理学は多岐多様である。
ブリーフセラピー、解決志向アプローチ、オープンダイアローグ、ナラティブセラピー、などなど。家族療法から発して、実際に家族をカウンセリングして、実践論を模索して構築した方々には、敬服する。
フロイトが提唱した、精神分析学は、個人の人格や過去の経験をもとに、精神疾患を分析した。ユングはもっと、スピリチュアルで、人間の脳細胞には、歴史的記憶が刻まれている、と考えた。アドラーは人間関係を重視して、人間の性格は、コミュケーションによって形成される、と説いた。
アドラーは教育的観点が、深い。だから、コミュニケーションの重要性が問われる現代、若い人を中心に、その理論や思いが、受け入れられるのだろう。
家族とは何だろうか?
これまで保育活動は、学校教育活動よりも、一段低くとらえられてきた。教師との給料の差も、歴然とある。保育は「子守り」という概念なのだろうか。でも保育は、最も家族のそばにある育成活動だ。子どもを教育するだけでなく、子どもの育成と家族のあり方を、援助し支える役割りだからだ。
教育と援助は、似ているようだが、本質的に違う。教育は伝え導くこと、援助は支えること、なのではないかと思う。教育も援助も、共に重要な活動である。家族支援とは、伝えること支えること。この二つが、両輪のごとく回れば、より良い保育・教育ができると思う。
社会全体で、積極的に家族支援を実践すれば、子どもたちの未来は、もっと明るくなるだろう。そして、少子化に歯止めがかかると、思うのだが…。

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