自死を選ぶ思春期前に

現代はひと昔前に比べて、思春期に入る年齢が、早まっているように思う。それぞれの児童の個性によるけれども、20年くらい前は、中学生ごろ、12才から13才ぐらいが、思春期の始まりだったように思う。だが、今では小学校高学年、10才から11才ぐらいだと感じる。

女子と男子では差異がある。女子は初潮を迎えるぐらいが、思春期の入り口だと思われる。男子はなんとなくはっきりせず、ある日突然、射精を迎える。身体の変異と心の情態が、思春期を生み、子どもたちを混乱させる。

様々な要因が考えられるが、情報化社会になり、子どもがスマホを持ち、興味がある情報が簡単に得られる。また、離婚した一人親家族が増え、ステップファミリー(再婚した家族)が増え、子どもが家族の一員として、自律しないと生きていけない。また、保護者が、子どもたちに課する、家族内での労働が多い。大人がやらなければならないことを、子どもに託してしまう、ヤングケアラーの存在が注目されている。(厚生労働省のHPを参照)

また、民族性の違う父と母。多元的な文化を持つ、自分のアイデンティーを考え、模索し続ける子どもたち。文化の違いや、パパやママのルーツを大切にしながら、自律しなければならない。
子どもたちは本当に、大変だ。自分で考えなければ、家族の中でも学校社会でも生きてはいけない。だから、大人の事情を、理解できる子が、多くなった。ママの大変さや、パパへの気遣いなど。なんと、大好きなママへの配慮は、4才・5才児でも考えている子どもがいる。びっくりだが、真実の実態である。

2020年度は、コロナ禍の影響も大きく、18歳までの児童の自死・自殺の数が過去最多となった。
その要因は、親子関係の不和や、家族関係に問題がある場合が多い。学校でのイジメ問題による自死・自殺は、徐々に開示されてきた。でも、家族の問題は、なかなか表面化しにくい。子どもが、ガマンしてしまうからか。思春期という、はれ物に触るような情態に、保護者や教育者がタッチしたくない、できないからか。どちらにしても、コミュケーションが成立してないと、当然、子どもは孤立してしまう。

希死念慮が育ってしまう環境は、大人の無関心や、共感性のない家族環境や学校社会から生まれると思う。または、強制的な育成観や、強力な指導性。子どもの心を無視し続けると、ふと、死にたくなるのかもしれない。

だから、「○○するべきだ」「○○しなければ、認めない」などという、育成観や教育観を持たないでほしい。思春期に入る、0才から12才ぐらいまで、のびのびと過ごせる環境を与えてあげ、子どもの心に寄りそってほしい。そして、子どもの表情や態度を、よく観察してほしい。暗い表情をしていたり、元気がなかったら優しい言葉をかけてほしい、と強く思う。

必ず、子どもは大人の助けを求めて、サインを出している。そのサインに気づけるよう、大人が感性を磨かなければならない。保護者だけでなく、保育・教育に携わる者、カウンセラー、地域の人々、すべての大人が、子ども心に寄りそえば、自死を選ぶ子どもは、少なくなるだろうと思う。